マビノギ的な内容の小説を書いてるかもよ。 マビノギ知らない人も楽しめるように書きたいのかもよ。

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stage 2-20 Laurant

「調整が効くようになってきたぜ」
アークズと対峙しながら、オオガキが言う。
「ほーう?んじゃあ久々に、組み手じゃあない実践訓練といくか?」
「上等。組み手では体格差で不利だったが、スキルを使っていいなら、俺の勝ちは見えてるぜ」
「ふふん、うぬぼれの強い男だな。俺が負けるわけないだろ。いつでも来い」
そう言って、アークズが不敵に笑いながら構えをとった。
「へっ、お前こそうぬぼれんなよ!」
その声が終わると同時、オオガキの姿が消える。
「ファイナルヒットか…仲間になる者だからいいものの、敵がこんな技を使ってきたらゾッとせんな」
アークズが肩を回しながら、消えたオオガキの次の手を待つ。
「しかしッ!」
叫んだ直後、背後にオオガキの気配を感じる。
「ワンパターンすぎるぞッ!」
アークズが振り向きざまに、オオガキの気配を感じたところに拳を叩き込もうとする、が、
「いないッ!?」
「短絡的すぎるぜ!!」
声はアークズの背後、つまり振り返らねば正面の位置であったところから聞こえ、その後脇腹にオオガキの拳がヒットした。

「…やるねえ…」
アークズが、腹に手を当て振り返る。
彼らが本気でやり合う時のルールは、『確実に仕留められる位置からの攻撃』を受けた時に終了する。
今のオオガキの攻撃はアークズに一瞬早く察知されており、攻撃は通れど殺す事の出来ないタイミングだ。

「一瞬、俺の背後に出てきた気がしたが…幻術でも学んだか?」
「瞬間的な発動と解除を学んだんだよ。多少の発動なら体力もそれほど消耗しないしーー」
オオガキの姿が消える。
そして一瞬の後、
「そこか!ダメージで反応の鈍った脇腹付近だなッ」
オオガキの気配は、確かにその位置からした。
さっき同様のフェイントかもしれない。
しかし、今度はフェイントを仕掛けずに攻撃してくるかもしれない。
二択を迫られながら、これはいい戦法だとアークズは思う。
そして、装備したナックルに力を込めて、気配のする場に殴りかかった。
「残念…!」
アークズの殴りにいった位置と逆の方向から声が聞こえる。
またしてもフェイント。
しかし、その可能性を踏まえずにがむしゃらに攻撃するほど、アークズという男は単純ではない。
それからの動きは、勝ったと思い油断したオオガキの目では追いきれなかった。

気付けば一瞬のうちに、フェイントの位置を殴っていたはずのアークズの拳はオオガキの頭の真横に静止しており、それほどの速度のジャイアントの拳、アークズが止めなければ致死だったのも確実であり、オオガキは今回の負けを悟った。

拳を動かさず、アークズが言う。
「奥の手は先に見せるな、見せるなら更に奥の手を持て。昔知り合いだった者の言葉だ」
「へ、へえ…、そいつは確かにその通り…」
ほんの一瞬の出来事を遅れて理解したオオガキは、自分の頭が飛んでいた可能性を考えてゾッとしつつ、余裕を装って言葉を返した。

横から、パチパチと手を叩く音がする。
少し離れて見ていたレマサのものだ。
「アークズにアレを出させたなんて、かなり成長したね。ちなみにカラクリはわかった?」
「全然わかんなかったぜ、炎みたいなもんがチラっと、拳のあたりで見えた気がしたんだけどな…」
「見えたことから戦術を想像するのも重要なことだよ。ま、それはおいといて、終わったみたいだね、情報集め」

………



「この通行証をバリダンジョンに捧げれば、あの世、『ティルナノイ』って呼ばれてるとこに通じるよ」
エイジが、黒い通行証をヒラヒラさせながら言う。
食堂のテーブルの対面にはオオガキとアークズ、そしてエイジの隣にはレマサが座っている。
「宣言通りひと月で突き止めてくるとは、さすが」
レマサが言う。
明日で、みんなが別れてから一月が経過する。
「それほどでもある。で、スバル達とウェリは?」
エイジの質問にオオガキが応える。
「ウェリはダンバートンにいる。他二人は何処か知らないけど、そろそろ戻るんじゃないか」
「知らない?二人は共に行動してるのか?」
「おう、二人で新技会得に奔走してるよ」
エイジが、額に手をあてて、
「参ったな…。向こう側への扉が開くのは期間がある。いつもなら毎週土曜の夜らしいが、キホールの力の影響か、ここ最近は不安定らしくてな。しばらく開かなかったらしいんだが、それが今日の深夜、一月以上ぶりに開く」
聞いてる三人が、ほう、という顔で先を促す。
「おそらく、扉が閉じるまで…多く見積もって七日。今日からな。一刻の猶予もない」
そこでアークズが口を挟んだ。
「七日あるんだろ?仲間を招集して出発するには充分な時間だと思うが」
それにエイジは、
「ああ、行くだけならね。聞いた話だと、向こう側にはまともな食料も、食べられるような生物もほとんどいないそうだ。つまり、」
「扉が閉まって戻れなくなればアウト…」
レマサの呟きに応えてエイジは続ける。
「その通り。しかも次に開くのはいつかわからないときてる。さて、どうしたものかな」
時間がない中、皆が先のことを考える。
その中で口を開いたのはアークズだ。
「通行証は何枚あるんだ?」
「3枚。これ以上はてにはいなかった」
「…充分!それだけあれば考えるまでもなし!」
というアークズの言葉に、オオガキが続ける。
「ああ、考えるまでもないな。俺達は先にいくぜ」
エイジは二人を見ながら言う。
「何があるかわからない場所だ、万全を期して全員で乗り込んだほうがいいと思うけど」
対するアークズは、言う威勢良く。
「俺を誰だと思ってやがるのよ、そう簡単にはくたばらんぜ」
更に続けてオオガキが言う。
「別に…すっちー達がくる前に全部倒してしまっても構わんのだろう?」
それを聞いたエイジとレマサは、あまりの自信に吹き出した。

口元の笑いを腕で隠して、エイジが言う。
「まあ、どの道俺も先に行くつもりだったからな、一緒に行くか。レマさん、スバル達がきたら渡しといてくれる?」
言いながら、通行証の一枚を差し出す。
「りょーかい。ま、頑張って」
レマサが受け取り、それを懐にしまう。
オオガキが、
「れまっちは来ないのか?」
と聞くとレマサは、無表情で言う。
「ん?まーね」
「まあ無理強いはできねーよな…。とりあえず三人で…行くか!」
「それじゃあ一旦解散後、各自準備を整えた後、ムーンゲートが開く頃にそこに集合で」
エイジの言葉にオオガキとアークズは頷き、それぞれ部屋を出た。
「レマさんも必要なものがあれば言っておいてくれ、もしもの時、一人でこっちを守るのは楽じゃないだろう」
「んー…まあ大丈夫じゃないかな。そもそも君らが負けるとは思ってないしね」
「ま…当然勝つけど。そういうことなら俺ももう行くかな。また一週間かそこら後に会おう」
「うん、必ずね」
レマサの言葉を聞き届けて、エイジも部屋を出た。

残るのは、一人。



「ここかい?ここがいいのかい?ねえ?」
バンホールの街外れの酒場。
バンホールには二つの酒場があり、一つは至極全う、一般的な酒場だ。
そしてもう一つが此処。
浮浪者、不審者、荒くれ者達の溜まり場。
アル中にしてヤク中の集う無法地帯。

安酒を浴びるように飲み、娼婦を侍らせる男がいた。
「ぐぅあっはっはっはっは!いいぞお!やれい!もっと激しくだあああうううい!」
酔っ払いは呂律も回らぬ中、女に局部を踏みつけられ下品に笑う。

それを離れたカウンター席で横目に見る2人組がいた。
ジャイアントと人間、アークズとオオガキである。
「なんでこんな変なトコで待たなきゃいけないんだよ…」
オオガキが騒がしい店内で耳を塞ぎたいと思いながら、隣のアークズにぼやく。
「まあ、ここなら彼の名前を出すだけで無料にしてくれる、らしいからな」
彼、とはエイジのことだが、その事を伝えたエイジ本人は酒場には入らず、どこかに行ってしまった。
零時までの辛抱と、二人は我慢してその場に留まるが、そこで事件は起きた。

バタン、と扉の開く音。
入ってきたのは銀髪の青年だ。
黒い衣装で、腰には黒い剣。
青年は入るなり、確固たる足取りをもって酒場の奥へ向かう。
途中、一人の鉱夫に青年がぶつかった。
「おい、なんだ坊主、ここはてめえみたいなーー」
「退け」
青年は鉱夫に目もくれず、腰の剣に手をかけた。
「な、なんだよ、おめえ」
鉱夫は怯み道を譲る。しかし青年はやはり、一切鉱夫に目もくれず、酒場の奥、娼婦を侍らせた酔っ払いのもとへ向かう。
そして腰の剣を抜き、男を斬りつけた。
周囲の者は状況がわからずに硬直し、動けない。
銀髪の青年の、
「bon soir」(こんばんは)
と言う言葉と同時、男の身体から鮮血が噴き出す。
静止した店内、周囲に飛び散った液体は葡萄酒のように美しかった。

「なにモンだ貴様…んぐううあああッ!」
男が言う途中、青年が更に一突きしたことにより、男は叫び倒れた。
男が人生最期に聞いた言葉は銀髪の青年の、
「au revoir」(さようなら)
という静かな、恨みを込めた呟きだった。
青年は男が息絶えたのを見た後、さびすを返して走りだし、狂ったように笑いながら、そのまま走り去って行った。

青年が酒場から走り出て数秒後、各々が硬直から解放されて動き出す。
叫ぶ者、目を逸らす者、嘔吐する者。
それぞれの反応を見せる中で、オオガキとアークズは静かに店を出た。

「なんつー店だよ、最悪だぜ」
「全くだ、最悪だ」
二人して最低の気分に浸りながら、バリダンジョンに向かう。
門が開く深夜まで数時間あるが、どこかによる気分でもなかった。
バリダンジョンのロビー、二人して座り、言葉も交わさずに瞑想する。
偶然にも人の死ぬ瞬間を目の当たりにした二人の心は、沈みこそすれ、平常なコンディションの範囲内だった。
これから闘う相手に敵がいる可能性を考えれば、死を目の当たりにして覚悟を決めることが出来た上、この無言な時間の中で集中力を高める事が出来、被害者には悪いが全て吉と出ている。
オオガキ達はエイジがくるまで一切何も言わずに、精神を研ぎ澄ませ続けた。


この時の二人には知る余地もないが、殺された男は彼等の敵対することになる、魔族サイドの一員だった。
悪夢の異名を持つ男、名はローランという。
ローランはもともと人間同士の戦争の傭兵だったが、戦場で片腕と片目を失い、職も失った後に、魔族の側へと身を置いた。
ローランは片腕片腕を失っても、実力はかなりの猛者だ。
しかしついさっき、傭兵時代に襲った村の生き残りの、銀髪の青年に殺された。

青年はローランが泥酔していたから一撃で仕留められたが、そうでなければ勝つことは不可能だっただろう。
青年は泥酔時を狙って襲ったわけではない。あの状況だったのは、ただの幸運である。

どんなに強き兵士であろうと、相手の『幸運』という、それだけの要素に負けることもある。
たとえ物語の主人公であれ、その親友であれ、もちろん敵対する者たちであれ、その可能性はあるのだ。


オオガキもアークズも、死んだ男の事情など欠片も知らないが、あまりにも呆気ない人間の死を見て、ああはなるまい、と。それぞれが心に思うのだった。
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コメント
No title
久しぶりのssだー!
前のエロさはどこへ・・・下品しかねぇ!

ちょいちょいサンホラの人物が垣間見えるぜ
味方キャラには出ないのかしら?



2013/05/06(月) 22:29 | URL | ウェリ #-[ 編集]
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プロフィール

アークズ

Author:アークズ
マビノギ的な小説はじめました。
でもマビノギじゃないかもしれません。
永遠の厨二病。黒歴史量産中。

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