マビノギ的な内容の小説を書いてるかもよ。 マビノギ知らない人も楽しめるように書きたいのかもよ。

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stage2-19 ドルイドとサキュバス

「意外と普通の指輪だな」
指輪を日に掲げて四方から観察しながら、ケイゴが言う。
指輪を取ったら何かの仕掛けが発動、なんてことを想定して身構えていたが、特に周囲に異変はない。
そのまま指輪を眺めながら、張られていた結界の外へ出る。
と、半透明だった結界が音もなく消えた。
「…いつの間か降り止んでるな、雪」
指輪から目を離してみると、雪はいつの間にか降り止んでいた。
「あの雪は、その指輪から空間に過剰供給されるマナが、雪という形で消費されていたものですから。マナの供給先が貴方にかわって降り止んだのでしょう」
「過剰供給って……人間がそんなマナ流し込まれて大丈夫なのか?」
ケイゴが若干の不安を覚えて問う。
「短時間ならば。長時間もっていると危険ですね。私のように、人の形を保つために常にマナを消費している、などの事情があれば問題はありません」
ケイゴは、手の中の指輪を見やり、冷や汗をかきながら、
「へ、へえ、とりあえず渡しとくぜ、これ」
「…ありがとう。これで私はやっと、次に進むことができます」
「先…か。あんな姿じゃ街に出て聞き込みもできないもんな。人になれるのも夜だけだし…」
「ええ、ですが貴方のおかげで無尽蔵のマナを手にいれ、人の姿を保つことができる…さあ、指輪を私に。持ち続けては危険です」
「あ、ああ。……あれ…おかしいな…」
ケイゴは、差し出されたタルラークの手の上に自分の手をやり、握った指輪を離そうとする。
しかし、手が開かない。
「なんだこれ…手が開かねえ…ッ!」
ケイゴの言葉に、タルラークが焦りだす。
「ま、まさか…これが罠…ッ!この指輪は…周囲の者だけでなく所有者にまで取り付くのか…!!」
失礼しますよ!、とタルラークは叫び、ケイゴの腕を無理矢理に開こうとする。
が、
(邪魔だ)
どこかから響いた声と同時、ケイゴに殴り飛ばされて吹き飛ぶ。
「わ、悪い!腕が勝手に…」
ケイゴが慌ててタルラークに謝るが、タルラークもそんなことは理解しているし怒ってなどいない。
見るべきは先だ。この先の道。


指輪の魔力は、ケイゴの体内にあふれることによって、その身体を制御している。
指輪が周囲を魅了するのは、そこから溢れ出るマナに人々が触れる故だ。
つまり、人の形を保つことに常に膨大な魔力を消費するタルラークが身に付ければ、どちらの心配もなくなる。

(私が指輪を手にすれば全ては解決し、この後指輪に関する心配はなくなる…。しかし、どうすれば彼の手から引き剥がせるか…)
いまのタルラークは魔法が使えない。
ソウルエディットは特殊な技故に使えるが、攻撃には転用できない。
エディットでクマに乗り移り、人の形を得ているとはいえ、本当の肉体はクマであり、魔術回路はないのだ。
(魔法さえ、使えれば…)
なんて思っていると、目の前に突如、氷の塊が現れた。
「ッ…!?」
反射的に身体を横に逸らしたので、塊は足を掠っただけにとどまる。
氷塊の飛んできた先では、ケイゴがタルラークに向かって手を掲げている。
「まずい…目から光が消えかけている…。あのままでは完全に指輪に乗っ取られる…!」
こうなれば力づくの相打ちとなってでも取り返さねばならない、と覚悟を決めた時。

「またお前は死にかけているのか」
タルラークの背後から声がした。
同時、ケイゴの周囲に造られていた氷塊が、高温の炎によって溶かされる。
氷塊だけではない。その足場にあった雪までもが、数メートルの範囲に渡って溶け消えた。
タルラークがハッと振り向くと、しかしそこの人影はなく、ケイゴの方で、
「これは我らドルイドの聖遺物。返してもらおう」
という声が響く。
そしてどうやったのかケイゴの手は開かれ、指輪はそこにはなかった。
「その赤いローブ…そしてその魔法の実力は…まさか…」
指輪の力から解放されて倒れこむケイゴを床に寝かせて、男は振り向き、かぶっていたフードをとると、言った。
「久しぶりだな、タルラーク」
「貴方は…やはり我が師…マウラス…!」
三年振りの師との再開。しかしタルラークは感動など出来ない。
マウラスは以前邪神キホールと組み、タルラーク達に牙をむいてきたのだから。
そして恐らく今も、キホールの言でこの指輪を回収しにきたのだろう。
となればタルラークには太刀打ちする術はない。
しかし、マウラスは指輪をタルラークへと投げ渡してきた。
「…?どういうことですか」
「私はもうお前達の敵ではない。ここに来たのも独断で抜け出た故、気付かれんうちに戻らねばならん」
「…!やはり貴方は、最初からキホールの野望を阻止するために…!」
「それは違うな。私は本気で人間を滅ぼす気であったよ。しかし。しかしだ、運命とは数奇なものだな。あの絶望の中で、一番の希望を見てしまった」
タルラークは何の話をしているのかわからず、首を傾げる。
しかしマウラスは疑問には答えず、タルラークに背を向けた。
「私はもう行く。マリーのことを、守ってくれ」
「マリー…何故あなたがマリーの心配を……」
タルラークが言い終わる頃には、マウラスの姿は消えていた。
転移魔法でどこかへ飛んだのだろう。
「いまの転移魔法…私をキホールの攻撃から逃がしてくれたのは、やはり貴方だったのですね…」
転移魔法を使える魔術師などそういない。
マウラスは数年前のティルナノイで、タルラークを転移させ逃がした。
タルラークは、それを確信する。
しかしその裏では本気で人間を滅ぼす気という。
タルラークは師の思うことが理解できず、頭を抱えた。



指輪を手にいれてから一日。
タルラークとケイゴは、ダンバートンにいた。
タルラークは指輪の力を制御し、充満するマナの少ない昼間でも人の姿を保てるようになった。
マナで形を保てるようになった今、もともと使っていたクマの肉体はもう必要がないので、森に埋めて供養した。
食糧にもできたが、タルラークが生きながらえられたのはあのクマのおかげでもある。
せめて墓くらいは作ってあげたいと思ったのだ。

ケイゴには、昨日起きた一部始終を説明すると、
「うわあもう絶対その指輪触らねえ」
と、それだけで流されて、昨晩は森の中で睡眠をとり、ダンバートンの食堂で2人座って朝食をとった後、二手に別れた。
タルラークは、聖堂で知り合いの司祭に挨拶をしてくるというので、ケイゴはその辺で露店を見つつ暇を潰すことにした。

「おっ、この仮面いいね!」
ケイゴが、街のすみ寄りにある一つの露店で立ち止まる。
シートの上に並んだ品々の向こう、怪しい格好の男店主が、お面という言葉に反応した。
「その仮面に目をつけるとは中々のセンスあるね。その石仮面は太古に存在したアステカ文明の聖遺物あるね。被れば人間やめられるあるよ」
「えっ、この狐の仮面ってそんなスゲーもんなの?」
妙な訛りだし、胡散臭い露店商だと思いつつも、暇潰しに話に乗ってみると、露店商は顔をあげて、
「ム…そっちの仮面あるか。失礼したね。それはただの祭事用の仮面ある。しめて10000Gね」
「なんだ、やっぱただの仮面か。でもなー、ンー、イカすなーこのデザインは」
ケイゴが手にとっているのは、不敵な笑みを浮かべる狐の仮面だ。どこの祭りで使われるものかは忘れたが、ケイゴにも見覚えがある。たしかその時見た値段は、1500G程度だったはず。
「おいおい露店商、ちょっとボりすぎじゃあないかい?いくら俺がモンスターハンターって見た目でわかって、ハンターなら金を持ってるからってよー」
「仕方ないね。7000Gにまけとくね」
「まだ高いなぁー、俺が昔見た時は1500Gだったぜ?」
「これ限定品よ、そこまで安くできないね。5000G、ここが限界ね」
「よし、買った!」
「売ったね」
交渉が成立し、5000Gと狐の仮面を交換したあと、隣の石仮面が気になったので少し訪ねてみることにする。
「さっきアステカがどうとか言ってたけど、なんなんだ?コレ」
ケイゴが仮面を手にとって見てみる。
不気味な顔の造形をとった石の仮面だ。
「それを顔に当てて何かをすると、人智を超えたパワー手にはいるね。代償に日の光失うよ」
「吸血鬼にでもなるっつーのかよ?顔にあてて何すりゃいいんだ?」
「それは教えられないね。あなたの顔幸福になれない顔よ、使っても駄目ね」
「なんだそりゃ…客のことはもっと持ち上げた方が儲かると思うぜ?まぁ俺はこんなもん買わんが…じゃあな」
ケイゴが振り返り歩き出すと、すれ違いで、金髪の男がその店を見始めた。
耳にほくろが三つもあったので、物珍しさでケイゴはチラっと振り返ったが、相手は気付かず、ケイゴも特に興味があるわけではないのでそのまま歩き去った。



「よく人間の生活に馴染めましたね。サキュバス・クリステル」
聖堂の前、司祭の格好をしたピンク髪の女性に、タルラークは背後から話しかけた。
礼拝は昼からなので、聖堂の辺りにはタルラークと女性の二人しかいない。
女性は草木に水をやっていたが、その手を止めて振り返る。
そして、タルラークの顔を見た女性は、
「っ……!」
驚き目を見開いて、手に持っていたじょうろを床に落とした。
中の水が跳ねて足元にかかったが、そんなことを意識する余裕もないほどに、彼女は驚いていた。
「タル…ラーク…なの…?」
「ええ。ダンバートンに新しい司祭が来たというので特徴を聞いてみたら、魔族の知り合いに…貴方によく似ていたもので」
と、タルラークがそこまで言った時。
驚きの波が一通り過ぎ去ったのか、女性は一気に疑問をぶつけ出した。
「なんで…なんであんな重症で…何も言わずに出て行ったの…ですか…」
この話は、タルラークがキホールの手から逃れた後(マウラスの転移魔術により逃がされた)、何故かクリステルのいるラビダンジョンへ飛ばされ、瀕死のタルラークを治癒しようとクリステルが道具を取りに行ってる間、タルラークが姿を消した時の話だろう。
「私はドルイドだ。魔族の手を借りて生きながらえる。そんなことは許されないのです。私の心が許さないのです」
「命より掟…あなたらしいですね…。でも生きててよかった…、もう会えないかと思ってたから…」
「私の方も、できる事なら会いたくなかったのですが。貴方以上に魔族内部に詳しいものは知らないもので」
「相変わらず冷たいのね。私の気持ちには応えてくれないのに、私の力は借りようなんて」
いつの間にか司祭からサキュバスの頃の顔と喋り方に戻ったクリステルに言われて、タルラークは返す言葉が見つからない。前回通行証を手に入れられたのは、彼女の好意のおかげだ。
タルラークがどう返すか考えて黙っていると、クリステルが懐から、目的の物を取り出した。あの世への通行証だ。
「本当なら何も言わずに渡したいところよ?私と貴方の繋がりはこの関係だけ。それがなくなったら今度こそ、会いにきてすらくれないでしょうし」
今でも、クリステルはタルラークに想いを寄せているらしい。
「…何故あなたは、そこまで私に執着するのです。サキュバスの貴方なら、いくらでも他の男を相手にできるでしょう」
「…そういうことじゃないのよ。昔、ダンジョンで会った時にも言ったじゃない。他の男はみんな、私を倒し屈服させようとする。でも貴方は違うわ。研究という目的のための、邪魔なものとしてしか私を見ていなかった。新鮮な気持ちだったのよ」
「それだけですか?そんな気持ちなら何度も私と会ううちに冷めたでしょう」
「ああもう、本当に冷たいわね。それよ、その態度。そっけなくされるほど、私みたいな女は燃えてくるのよ」
タルラークは、はぁ、と溜息をつき、
「やはり私には魔族の思考は理解できないようです。そんなことより、その通行証に関する交渉をしましょう」
「交渉?どんな条件でもこれは渡せないわ。三年前は、研究のため、それだけが目的だったから渡せた。でも今は違う。流石に私の耳にも入ってきたわ。キホールの噂」
「…そうです、キホールはエリンを侵略しようとしている!だからこそ私は行かなくてはならないのです!」
「そうね。だからこそ私はこれを、渡せない。貴方が無駄死にしにいくのなんて見送れない」
「そうですか…わかりました」
タルラークが物分りのいい子供のように諦めて、クリステルは意外な顔をする。
クリステルが口を開こうとすると、タルラークが一歩踏み出し、手を差し出してくる。
「?」
意図がわからずにクリステルがその手を見ていると、その手が、クリステルの胸にーー、
「きゃっ」
胸に触れた。
戸惑い尽くした果てに、悲鳴とも喘ぎともとれる声が漏れる。
「今のうちに差し出した方がいいですよ。私も初めて故、加減が出来るかわかりません」
「なっななな、いきなりどうしたのよタルラーク…!」
淫魔と呼ばれるサキュバスともあろうものが、胸に触れられただけで同様していた。
「…貴方が差し出さないのなら、強硬手段で頂くまでです」
「き、強硬手段…?」
クリステルの頭の中で、初心な処女のような妄想が駆け巡る。
「いきますよ…!」
タルラークの言葉とともに、胸のあたりがじんわりと熱くなる。
その火照りは次第に身体中へと駆け巡り、
「あ、あっ…う…あんっ」
クリステルが声を抑えられずに喘ぎ出す。
「ちょっ…と…な、にを…ううんっ」
そんな二人の様子を、うっかり見てしまった者が一人。



「タルラークの奴が遅いから見にきてみたらよぉ~~、アイツ意外とプレイボーイなんだなぁ」
聖堂への道の曲がり角、そこの柱を通った時に、聖堂方面から怪しい声が聞こえてきたので、ケイゴは隠れて様子を伺った。
そして見えたのが、揉まれる司祭と揉むドルイドである。
「まあ知り合って二日だしな、まだまだ知らんことだらけだよな。見続けるのも悪い気がするし離れて待ってるか」
一人で言って、ケイゴはその場を離れるのであった。



「な…にっ、これ…!」
全身を包む快感が、次第に別のものにかわりつつある。
痛みだ。クリステルは、タルラークに何をされているのかわからない。
しかし、気付けば仰け反るほどの痛みを受け、快楽の喘ぎは苦痛の声へとかわる。
「タ、タルラーク、やめ…て」
言葉と共に、クリステルの手に握られていた通行証が床へと舞い落ちた。
それを見たタルラークは攻撃をやめ、通行証を拾い上げる。
タルラークの手が身体から離れて数十秒もすると、クリステルの身体の痛みは嘘のように消えてなくなっていた。

はぁはぁと息をするクリステルを見ながら、タルラークは言う。
「今のは、貴方の体内にマナを送り込み、過剰供給されたマナが行き場を失って暴走しただけです。私が手を離したのですぐに元に戻るでしょう。後遺症もありません」
「しかし私を襲うなんて、知らないうちに肉食系になっちゃって…ますます燃えてきたわ」
クリステルがまた何か言い出したので、タルラークは付き合ってられん、と、その場を去ろうとする。
目的の物は手に入れた。これ以上の用事も感情も、彼女に対してはないのだ。
「待ってタルラーク。それを取られた以上止めることは出来ないけど、いまゲートは不安定よ。次にあそこにいけるのは多分、一月近く後になるわ」
「…不安定…ですか。それほどまでにキホールの計画は進行している…。一月あるといっても、ここにとどまる事は出来ませんよ。時間はいくらあっても足りない。突入するまでの一月、万全の準備をしなくては」
クリステルはくすりと笑って、
「わかってるわ、あんな怪我でも私のもとからいなくなった貴方ですもの、私の世話になるわけはないわよね。いってらっしゃい、タルラーク」
「ええ、いってきます。今度こそ最後の別れになるでしょうかね。…一応、お元気でと言っておきましょう」
「…ええ。生きてればきっとまたどこかで会うでしょうけど。私の手からは逃れられないわよ」
それを聞いたタルラークは、クリステルから見えない位置で苦笑して、そのまま歩き去った。
残されたクリステルは、久々に、しかも逢えないと思っていた想い人に出会えた喜びを噛み締めて空を見上げ、一人呟く。
「また、逢えるわよね…。今度こ 会うときは…そよ風の中で話がしたい」
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コメント
クリステルさんエロし!
ご馳走様です

タルラーク…なぜあえて胸…
大丈夫かドルイド…

2013/03/20(水) 00:00 | URL | ウェリ #-[ 編集]
No title
やーエロいでごんすなぁ
お胸様は正義!正義ですね!

石仮面と耳にほくろが3つの男・・・
どう物語に絡んでくるのかすげー気になるねぇ
超期待大で待ってます!よ!
2013/03/20(水) 01:13 | URL | ケイゴ #-[ 編集]
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アークズ

Author:アークズ
マビノギ的な小説はじめました。
でもマビノギじゃないかもしれません。
永遠の厨二病。黒歴史量産中。

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