マビノギ的な内容の小説を書いてるかもよ。 マビノギ知らない人も楽しめるように書きたいのかもよ。

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stage2-15 光の三戦士、その運命④

「いっ…」
焚き火を囲み会話をしていると、マリーが小さく悲鳴をあげる。
「ん?どした?」
ルエリが尋ねると、
「いきなり人差し指から血が出たわ……」
と言い、左手を差し出す。
タルラークはそれを見て、懐から包帯を取り出し、小さく切って応急処置をする。
「この程度なら問題ありませんね、右手だと弓師としての腕が落ちたかもしれませんが」
「うー……なんか不吉ねぇ」
「その辺の木屑で切っただけだろ、気にしすぎだ」
「まあ…そうかもしれないけどー。ちょっとは心配してもいいんじゃない?」
「ぷっ、あはは!その傷で心配するなら俺の毎回の戦闘はどうなっちまうんだよ、ボロっボロだぜ」
「そういうことじゃないんだけど……。まーいいわ、そろそろ行く?」
「そうですね、行きましょうか」
「うっし!行くかあ!」


三人は焚き火を消し、立ち上がる。
目の前には、巨大な鍵穴、そして扉がある。
三人は鍵を差し込み、まわした。
扉の錠が外れ、ズズズ、と、扉は上にせり上がっていく。
運命を分かつ、最後の扉は開かれた。
ここが日常との境界線。
その一線を、三人は超えて行く……。



開いた扉の向こう、三人はその中に入る。
魔族は見当たらない。
不気味な装飾の灯火が点いている以外は、他のダンジョンより広いというだけの、普通の広間…かに見えた。
ふと、上を見上げたルエリが、ビクリ、と身体を強張らせて叫ぶ。
「う、上だ!!」
言葉に従い、マリーとタルラークも上を見上げる。
見上げた先にはーーー。

天井を覆う巨体。
天に縛られた身体は張り付けにされ静止し、その目は黒い拘束具によって塞がれている。
其の両の手には、刀身10メートルにも及ぶかという大剣が二対。
張り付けの背中からはみ出し覗くのは、白き翼。
其の異形の名はーーー、
「グラスギブネン…」
タルラークが、ぽつりと。信じられないという声で呟く。
彼の目は驚愕に見開かれて、足は無意識に後ずさっている。
三人は十数秒の間無言で上を見上げていたが、不意にルエリが前を見て、
「っ…誰だ!!」
と言ったことにより、他の二人も我に返る。ルエリの視線の先には誰もいないが、しかし空間に靄がかかったようになっており、
「誰だ、とは私が聞きたいな……此処を何処だと心得ている」
靄の中から言葉と共に、男が姿を表す。
全身を黒い鎧で包んだ…否、それは鎧なのか、それとも皮膚なのか。
魔族なのか人間なのか、それすらもわからない身長2m超の男が、三人に問いかける。
その問いを無視し、タルラークは問い返した。
「聞きたいのは私の方だ!ここは何処だ、あなたたちは何を…この生物兵器を蘇らせて何をする気だ!」
タルラークらしからぬ語気の荒い口調に、ルエリとマリーは衝撃をうけるが、タルラークはそんな事を気にできる余裕もなく。
「ほう、中々に博識な奴がいるな。忌々しい戦時の兵器の話など語る人間はいないと思ったが…何処で知ったんだ?」
男が聞く。
「師から聞い……」
と、そこまで言ってタルラークは気付く。
先程男の現れた靄の中から、新たな人影が現れている。
二人。
片方は、漆黒のローブ、その淵には豪華そうな装飾がしてあり、背中からは幾枚かの純白の羽が伸びており、この異質な場の中でも、一層奇妙な雰囲気と迫力を放っている。

もう一人もまたローブで全身を覆っているが、こちらは装飾のない緋色のローブで、羽も生えていない。

その容貌を、タルラークは見たことがあって。
その顔は、長い日々、魔術の稽古をつけてくれた人のもので。
タルラークは今、死んだと思われた師と、再開したのだ。

師の名はマウラス。
第二次モイトゥラ戦争で華々しい戦績を残すも、戦後、魔族の残党により自宅を襲撃され、家族と共に死亡した。
少なくとも、タルラークはそう聞かされていた。

「何故…あなたが……こんなところに…!」
動揺を隠せず震える声で、タルラークは師に問うた。
「懐かしい顔がいるな……何年ぶりになるか…」
師は顔をあげ、ローブの中の顔が明かりに照らされ映る。
その顔は、タルラークの知っていた頃よりも痩せ、目には深い隈を残し、髪も髭も、現在30代だとは思えない程に白い。
「あなたは…あなたなら知っているはずだ…この兵器が人々に何をしたのか!!戦ったことのある貴方なら!」
それなのに何故、とタルラークが続ける前に、マウラスは言った。
「人間は、醜い」
タルラークは言葉の意味が一瞬わからず、息を呑む。
「奴らは私の妻を奪い、娘を奪った。私に命を守られておきながら、私の力を恐れ、反逆の徒などと狂言を吐いてな」
聞いたことのない話に、タルラークは動揺する。
「何を…貴方の家族を襲ったのは、そいつら魔族のはずだ…。人間だとしても!グラスギブネンなんてものを蘇らせれば、無関係な人々が死ぬ!」
「そうだ、死ぬだろう。構わぬ。人の本質など皆同じ…。貴様らが我等の野望を阻止したとして、次に殺されるのは…」
マウラスの言葉に、我慢ならないといった風にルエリが口を挟んだ。
「次は俺達の力が恐れられて、殺されるってか?敵は全部殺す、味方も一部が敵になったから全部殺す。あんた、一人で生きていくのか?」
マウラスも言う。
「それでも敵はなくならん。だが一時の平穏は得られるだろうよ」
敵も味方も殺し平穏を得、つぎに敵が現れればそれを繰り返す。男は、そう言っているのだ。
「あり得ないだろ、あんた…。敵は倒す!味方が敵になるならそいつらもブチのめす!それで解決だろうが!!今は、上のアイツをぶち壊す!終わったら、あんたを襲った人間どもをぶちのめす!」
言って、ルエリは剣を天井目掛けてぶん投げる。
剣は吊られた巨体の眉間の位置に刺さる起動で飛んでゆくも、
「…若いな、若造」
マウラスが放った魔法により起動を逸らされ、天井に突き刺さった。

ルエリの言は、確かに世界を知らない若造の言葉だ。
どうしようもないくらいの大きな権力というものが、人々の世界には存在した。

見兼ねたかのようにマウラスとルエリの言い合いに口を挟んだのは、黒いローブの、羽根の生えた魔族だった。
「愚かな人間よ…どちらにせよ貴様ら三人は生かして返さん。我が手にかかれる事を光栄に思えよ、人間」
言いながら、男は一歩踏み出した。
「キホール様!貴方が手を下すまでもない、ここは私が…」
「下がれモルガント。ここまで辿り着きし褒美だ。奴等は私が直々に殺す」
御意、と。モルガントと呼ばれた男は下がる。

「…どうする…?タルラーク」
ルエリがタルラークの方をみると、
「うわっ…その汗…どうしたんだよ…?」
タルラークはその問いには答えず、声の限りに叫んだ。
「ルエリ!マリー!ここは退いて下さい!!我等の叶う相手ではない!」

タルラークは知っていた。
先程、ローブの男が呼ばれたその名を。
『キホール』
その、邪神の名を。実力を。
故に理解してしまった、どうしようもない力の差を。
ならば、せめて。
「ーーーー」
詠唱するのは転送魔法。
タルラークの使える力では、一人しか移動させる事は出来ない、だからーー。
「マリー!貴方だけでも…」
言いながら、後ろにいたマリーに触れ、詠唱を完了する。
マリーは、え?。と、疑問の表情を浮かべながら、この場から姿を消した。

彼女がそこで、最後に見た光景。
苦い顔をして、目で謝るタルラーク。
悟ったように微笑み、こちらを送り出すルエリ。
マウラスは信じられないものでも見たかのように目を見開き、モルガントは黙して佇む。
そしてキホールの周囲には、目で見えるほどの魔力の本流。

そしてマリーの意識は移り、次に見えたのは、見慣れた、三人でよく話した丘の上だった。



「今回は骨が折れそうだな、なあタルラーク」
「ふ、暴れるだけあばれてやりましょう。頼りにしてますよ、ルエリ」

二人の男は強大な敵に挑んだ。
彼らのその後を、マリーは知らない。




やっと過去編おわった
なげーよ
盛り上げる場所間違えた気がするよ
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プロフィール

アークズ

Author:アークズ
マビノギ的な小説はじめました。
でもマビノギじゃないかもしれません。
永遠の厨二病。黒歴史量産中。

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