マビノギ的な内容の小説を書いてるかもよ。 マビノギ知らない人も楽しめるように書きたいのかもよ。

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stage2-12 光の三戦士、その運命①

世界には、知らない方が幸せなことが多くある。
気付かなければ不幸にならなかったことが多くある。
彼らは『気付いてしまった者』だ。
気付いた事が彼らを幸福にするのか、不幸にするのか。
はたまた、人類を幸福へと導くのか、不幸へと突き落とすのか。
それはまだ、誰にもわからない。
……物語の終わるまで。



「……ここ最近、モンスターの数と凶暴性が増してませんか」
薄茶の髪をし、同系色のローブを纏ったメガネの男が、メガネごしに相手を見ながら言う。

焚き火を取り囲み暖をとるのは、上の少年と他に二人。
赤毛で煌びやかな鎧を装備した大柄な少年と、武器である弓を床におき、手を投げ出して寝転ぶ、ピンクの髪の小柄な少女。
赤毛の少年が、口に食べ物を入れたまま会話する。
「ああ、俺の勘違いじゃなかったのか!明らかに今まで見たことないサイズだったよなあ」
彼の話すのは、つい数分前に倒したダンジョンボス、巨大赤クモの事だ。
「うわっ、ちょっとルエリ!口にもの入れたまま喋んないでよ!」
寝転んでいた少女に食べカスが飛んだのか、ぶわっと起き上がり怒り出す。
ルエリと呼ばれた少年は悪びれもせずに、
「おー、悪いなマリー!」
と言い、横に見ていたメガネの少年は、何やってんですか全く、といった表情でマリーにハンカチを渡す。
「お、流石タルラーク!ルエリと違って気が利くわねー!ね!」
二回目の「ね!」はルエリの方をジト目で見ながらだ。
「う、うるせー!」
「……話を戻しましょうか?」
タルラークと呼ばれていた少年が二人のいがみ合いを遮り口を挟む。
彼がいないと、二人はいつまでも口喧嘩を続けるのだ。
「えっと、モンスターの様子がおかしいって話だったかしら?」
「ええ。ここ最近で、明らかに魔族の動きが活性化しています。自然とそうなったのか、誰かの意図があってのことなのかはわかりませんが…」
「誰かって誰だよ?そんな物騒なことしても誰も得なんてしねーんじゃないか?」
「バカねー。自分でモンスターを狂暴化させて、自分で退治してもてはやされたいヒーロー気取りの仕業よ」
「ああ、なるほどなぁ。確かにお手軽にヒーローになりたいやつにはいいかもなあ」
「……まあ、その程度の目的なら、まだいいのですが…」
タルラークの深刻そうな声に、二人は軽口を止める。
「例えば、モイトゥラ戦争で敗走した魔族の幹部クラスが、再び戦争の準備をはじめたとしたら……」
モイトゥラ戦争とは、人間と魔族の決戦的な戦争だ。
勝利した人間達は、その大地から魔族を追い出すことに成功し、大陸を治めている。
しかし。
タルラークの魔術の師であるマウラスをはじめ、当時の国王ヌアザや、光の騎士と名高いルーなど、戦争の功労者はことごとく人々の前から姿を消した、不気味な戦争だ。
「……戦争からもう十年以上経ってるんだぜ?今更そんなことありえんのかよ?」
ルエリが聞くが、結論からいえばあり得る事だ。
「戦後の十数年、ポウォール(魔族)が一時分裂していたのか、それともずっと英気を養っていたのかはわかりませんが、あり得る事ですよ…」
「…もし戦争をしかけてくる気だとしたら……止める方法はないの?」
「そりゃーお前、司令官の闇討ちに決まってるだろ!」
「…その司令官がわかれば苦労しませんよ。本拠地もわからないんですから」
「全くバカねえルエリは」
「う、うるさいな!」
二人がお決まりのやり取りを始めたのを見て、タルラークは薄く笑いながら、
「まあ、何かわかったらあなた達にもお教えしますよ。では、私はそろそろ」
「ん、今日もダンジョンの構造の研究?」
マリーが聞くと、ええ、と答えてタルラークは立ち上がった。
「おう、手伝いがいるならいつでも言えよ!」
「ははは、貴方には力仕事しか任せられませんね」
「んなっ!?ついにタルラークまで俺を小馬鹿に!?」
「いえいえ、頼りにしてますよ。では」
そう言うと、タルラークは歩き出す。
魔族の集う、ダンジョンへと。

「私達はどうしよっか?」
残されたマリーが、ルエリに言う。
「帰って寝るかー」
「……もう」
マリーは少しだけ残念そうな顔をするが、ルエリは気付かずに立ち上がり、焚き火を片付け始める。
「おらおら、いつまでも寝転がってねーで手伝えよ。働かざる者仲間にいらぬ!」
「むっ!今日の戦闘で一番敵を倒したのは私じゃない!」
「おまえな…そりゃ俺の狙った奴を片っ端から先回りで狙撃してたからだろうが!」
「ふーんだ!悔しかったら少しは遠距離攻撃も覚えれば!」
遠距離攻撃豊富なマリーに対し、近距離技一筋のルエリは相性が悪い。
模擬戦をすれば蜂の巣だし、戦略の幅もマリーの方が広げられる故だ。
「うぐ…細かい作業は苦手なんだよ…それになぁ!この剣一本でどこまでいけるか!それを試すのが面白いんだぜ!」
「あーはいはい、それが男のロマンってやつなのよね。へいへい」
「くっそー適当に流しやがって…」
雑談のうちに片付けは終わり、二人は揃って歩き出す。

マリーを村長の家まで送り届け、ルエリはその先にある宿屋へと一人歩いてゆく。
マリーには両親がいない。
二人とも、先のモイトゥラ戦争で死亡したらしい。
タルラークの両親も訳あって死亡したらしく、ルエリも家庭に複雑な事情があるため、それぞれどこか寂しい部分で惹かれあったのか、三人はよく共に行動する。

ルエリの家は、ウルラ大陸の都市、イメンマハの領主を務める名家である。
親族には高官や政治に携わる者が多く、ルエリは後々領主になるだろうという、多くの人々の期待を背負って生きていた。
数ヶ月前、までは。

彼は教育という名の束縛の毎日に嫌気がさし、親にこれまでの気持ちをぶつけて家を出た。
感謝すべきことに、誰も連れ戻そうとはしてこなかった。
そんな勝手な行動をする者では、どの道領主は務まらない、そういう考えなのだろう。
こうしてルエリは、自由な世界へと解き放たれた。
面倒な人間関係のない、自由な世界。
豪華な料理は食べられないが、仲間と共に焚き火を囲む夕食は、これまで食べた何よりも美味しく感じた。
ルエリは根本的なところで、冒険者の性格だったのだろう。
もう領主を継ぐ気はさらさらなかった。
一つ不安なのは、残してきた弟の事だ。
いつか会いにいって、彼の生きたい道を聞こう。
もし弟も家を出たいのなら、一緒に冒険をしよう。
そんな未来に想いを馳せる。

ルエリは宿屋に着くと部屋に行き、とりあえずベッドに横になった。
こうして天井を眺めていると、思い出す。
初めて家を出る決意をした日の晩に見た、不思議な夢の事を。
その夢では、長い黒髪を腰まで伸ばし、背中から黒い翼の生えた、まさに女神ともいうような女が、こう告げたのだ。
『エリンが…貴方達の世界が危機にさらされています……。どうか、早くティルナノイに…』
夢はここで覚め、メッセージの意味は理解できなかったが、この話をタルラークに何気なくした時、彼はかなり真剣そうに考え込み、様々な行動をとりだした。
あれはただの夢だったのか、それとも……。



「あら、また来たのね。そんなに私に会いたいの?」
ピンクの髪をしたおんなが言う。
「……私はダンジョン構造の研究をしているだけです。貴方に用はない。どいて下さい」
茶色いローブの青年、タルラークが答える。
ここはダンバートン近郊にある、ラビダンジョン、その最奥の広間、ボス部屋だ。
そこにいる一人の青年は人間だが、もう一人の女性はーーー。
「もう闘ってすらくれないのね。一応私にはダンジョンを守護する役目があるんだけど」
そう言う彼女はやはり、人間ではない。
見た目は人間とかわらない、むしろ美しい女性の姿だ。
だが、彼女は魔族だ。
その姿で男を誘惑し、生力を奪い取る魔性のモンスター…淫魔サキュバスである。
そんな淫魔と対峙しながら、タルラークは表情一つかえずに話を続ける。
「無駄な闘いはよしましょう。これまでの四度、あなたが私に勝てた事は一度もない」
嫌味もなく、事実を述べるタルラークに、サキュバスは自重気味に笑いながら言う。
「ええ、そうね。私は貴方には勝てない。だから貴方に屈服してるの。他の男と違って、私を屈服させようとしない貴方にね」
「ならば道をあけてください。私はあなたに興味がない」
「辛辣ね。好きにしていいのよ?この身体を。貴方だけが…」
言いながら、淫魔は自分の身体を抱きかかえる。
タルラークは、今度は色仕掛けですか、と呆れ君に溜息をついて、
「私はドルイドです、色気に屈し堕ちることはない。諦めて下さい。それ以上やるならば…面倒ですが力づくにでも通ります」
青年の確固たる意思に、サキュバスは呆れたのか、または感心したのか、広間の中央をどき、道をあけた。
タルラークは何も言わずに、一瞬だけ安心したような顔をして、そこを通り過ぎ出口へ向かう。

「ちょっと待って」
背後から聞こえるサキュバスの声に、脚は止めるが振り向きはしない。
またくだらぬ誘惑なら、そのまま歩き出そうと思いながら続く言葉を待つ。
が、続いたのは、予想もしていない事だった。
「…あげるわ」
振り向くと、サキュバスがハンカチを差し出している。
タルラークが怪訝そうな顔をして、これは?、と尋ねると、サキュバスはハンカチをめくり、
「魔族達が噂する通行証よ。サーオィン(土曜)の夜にバリダンジョンに捧げると、どこか、この世界と違った雰囲気の場所にいけるらしいわ。信じるかどうかは勝手だけど、私の身体よりは興味のある事でしょう?」
タルラークは少し迷った後、ハンカチにくるまれた通行証を受け取る。
「…ありがとうございます」
疑惑を持ちながらも一応礼を言うのは、彼の真面目な性格故だろう。
「ふふ、律儀な人ね。そこまで生真面目なら、今度そのハンカチを返しに来てくれるわよね?」
「……わかりました。また、今度」

こうして、タルラークはダンジョンを後にした。
サキュバスとドルイド、ポウォール(魔族)と人間の、奇妙な約束を手に。

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プロフィール

アークズ

Author:アークズ
マビノギ的な小説はじめました。
でもマビノギじゃないかもしれません。
永遠の厨二病。黒歴史量産中。

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